築50年の建物を「高級店」に
元々、住宅としてあった土地建物の話があり、焼肉店を1軒経営していた若き飲食店I社長に、ここで「お店をやらないか」と声を掛けたのが始まり。そこで新築と改修の両面で考え費用など計算いたしました。築50年の建物ですから新築も考えましたが採算が取れない結論になり、改修の方向でスタートいたしました。
「落ち着く場所」をコンセプトに
I社長と具体的な話を進める中でお店の方向性は「高級焼肉店」。築50年の建物を修繕し高級店にする難題にあたりましたが、まず、お客様が「落ち着く場所」をコンセプトに築50年という建物の歴史を残し改修と高級な雰囲気作りを行いました。店舗の雰囲気は、集客・売上の両方に影響を与えます。店舗の雰囲気が提供する料理やサービスと一致しない場合、集客が思うようにできないことも十分にあり得ることです。そこで考えたのが本物の素材を使い高級な雰囲気を出すこと。
内装の壁もクロスを使わず左官の塗り壁。厚みのある無垢の床材など本物の素材を使うなど様々。永い間使って傷が着いたとしても経年変化を「味」「歴史」として捉える建物。経年変化の魅力は「自分の色に育ち、歴史が刻まれること」使い方や環境で、だんだんと別の表情に変わっていくことではないでしょうか。そして、客席のレイアウト。個室は隣の部屋の声が聞こえないレイアウトに。個室と個室の間に通路を設け、ざわざわした声、プライバシーを守る。音の配慮を行い目には見えませんが「落ち着く場所」に大きく貢献しています。そして安心できる建物を提供すること。建物の梁が弱っていたので木材の柱を鉄骨に置き換え耐震面も安心できる場所へ。
町の喧騒から離れた穏やかな世界観の入り口「門」
「和の牛」の代表的な印象を持つエントランスの「門」は、以前お世話になったお客様が新築に建て替えするにあたり「門」の撤去を依頼されたのがきっかけ、「もったいない」と譲り受け、手壊しし、組み直して移設、店舗の入り口の「門」として設置。このお話しを頂いたタイミングは奇跡に近いですね。これも「ご縁」なのではないでしょうか。この「門」をくぐると、町の喧騒から離れた穏やかな「和の牛」の世界観にスイッチする威厳と品格を与える不思議な「門」。提供する料理やサービスのワクワク感を上げ「和の牛」の顔になっています。
予約が取りづらいお店へ成長。
築50年の歴史をうまく残しつつ、雰囲気のある高級店になりました。問題はたくさんありましたが、諦めない気持ちが今回の成功を導びいたのではないでしょうか。提供する料理やサービスに合った落ち着く場所になり、予約が取りづらいお店へ成長。コースの希少部位シャトーブリアンを是非一度、大切な人と堪能し、雰囲気を体感してみてはいかがでしょうか